
タイでは3月26日に新型コロナ非常事態宣言が出て、4月2日からの22時から翌4時までの夜間外出禁止令が発令されている。タニヤ通りやパッポン通りはカラオケやゴーゴーバーが並ぶ夜の繁華街だが、これらの店は3月18日より営業が停止となっている。
こうしたなか、4月13日から15日までは、本来「ソンクラーン」というタイ正月の時期であった。しかし7月以降に延期された。実際のこの3日間の街の様子がどうだったのかについてレポートしたい。
はじめにバンコクの都心、日本人街タニヤ通りとパッポン通りの様子について状況をお伝えする。
まず、4月15日のバンコクシーロム・タニヤエリアの街の様子は以下の通りである。
4月15日(水)現在のタニヤ・パッポンエリアで営業している主な施設
日本人街のシーロム・タニヤ通りやパッポン通りで4月15日現在、営業が確認できた施設・店舗は以下の通りである。
<飲食店>(テイクアウトのみ)
大阪王将、エビスダイニング、すき家、金沢ゴールドカレー、牛野家(牛丼)、内田家(ラーメン)、らあめん亭、生そばあずま、酒の店(居酒屋)、吉龍糖(台湾タピオカ屋)
<小売店など>
セブンイレブン、ファミリーマート、Px薬局(緑の薬局)、good薬局(ラーメン内田家の隣)、タニヤスピリット(酒屋・両替商)
パッポン通りの方で開いていた店舗は以下の通りである。
<小売店など>
セブンイレブン(パッポン通り内)、フードランド(スーパーマーケット)
スラウォン通りで開いていた店舗
パッポン通りと交わるスラウォン通りについては、営業が確認できたのは以下の店舗。
<飲食店>(テイクアウトのみ)
しゃかりき432(居酒屋)、炭火焼肉432、スターバックス、バーガーキング
<小売店など>
セブンイレブン、ファミリーマート
4月13日~15日のソンクラーン延期での街の様子
タイでは例年は4月13日から15日がタイの正月である「ソンクラーン」の時期である。
この時期は毎年3日間ほどが連休となって企業などは休業となり、多くの人が田舎に帰省したり旅行に出かけたりする。
通称「水かけ祭り」として知られており、タニヤ通りやパッポン通りと接するシーロム通りは歩行者天国となり、大勢の人たちで通りは埋まり、水鉄砲で水をかけあうという光景が見られるはずだった。タイを訪れる観光客にも人気の一大イベントである。

しかし今年は新型コロナウイルスの感染拡大で、タイ政府はソンクラーンの延期を決定。
4月13日から15日の連休もなくなって通常の平日となった。
水かけ祭りでは狭いところに群衆が密集して水をかけ合うし、水かけ祭りに参加しない場合でも地方へ帰省のため移動する人が大勢いるため、感染拡大の可能性が高くなるというのがソンクラーン延期の理由である。
タニヤ・パッポンエリアの様子
実際、この4月13日から15日までの“三が日”は、デパートの並ぶ繁華街であるサイアム、バックパッカーなどの欧米系観光客でいつもにぎわうカオサン通りなど、毎年のソンクラーンの際には、イベントが行われて大勢いの人出でにぎわうエリアも、閑散として人通りは少なかった。
タニヤ・パッポンエリアでも、銀行などは通常通り窓口を開けて営業を行っていた。通りの多くの商店はシャッターを閉め、人の姿もほとんどなかった。
タニヤ通りでは、工事が進められていた。
こちらはタニヤ通りの中央にあった旧「築地寿司」跡地の建設現場。新しい店のオープンに向けて作業が続けられていた。外壁工事は表通りに面した部分をガラス張りにし、入り口も金属の格子戸にするようである。
内部の壁のタイル張りなどを行っていた。
タニヤ通りから路地を入ったところにある「クラブ愛」の2F以上部分、タニヤが始まった時以来の老舗だったクラブ「JUJU」の跡地では、連れ込みホテルを作るとのことで以前から工事が行われていたが、現在も入り口部分などの工事を続けている。
そして、タニヤで最大の工事は、「タニヤプラザ」の大改修工事である。
今日も、タニヤ通りに張り出した大型フェンスで囲われた改修工事現場では、内装の解体作業が継続。
工事計画によれば、まずは向かって右の「タニヤプラザ」側の1F部分の改築から手を付けていくとのことである。
これらの工事は、もともとこの時期に計画されていたものではあるが、新型コロナウィルス感染拡大をおさえる対策や規制のなか、予定通り粛々と計画は進行しているようだ。
外出制限期間の延期が行われる世界各国とタイとの違い
ヨーロッパなどでは、外出禁止の制限を延期する動きが出ている。
フランスでは5月11日まで、イタリアでは5月3日まで延期となった。
また、5月3日までの延期が決まったインドでは、職を失った出稼ぎ労働者が、ムンバイの駅に大勢押しよせて治安当局と衝突するという騒ぎが起こった。
世界的には感染拡大の抑止はまだ時間がかかるという動きであり、それに対する経済的な打撃と規制への市民の反発も出ている。

一方、タイでは、国立ラチャパット大学スアンドゥシット校が実施した調査によれば、ソンクラーン延期の決定をうけて回答者のうち84.5%が4月13~15日のタイ正月(ソンクラーン)の帰省を見送ったと回答した。(バンコクポスト・14日)規制に従って人の動きはストップしている。
タイにおいての感染者数は少しずつ減少に転じており、ソンクラーンという一大イベントの延期や移動の制限などにも市民は冷静に協力している。
その一方で、店舗や施設の工事などの活動は従来の予定通り行われているため、今のところ落ち着いた雰囲気だということはいえるだろう。