
2021年11月、タイは日本を含む海外からの入国渡航者について条件付きで新型コロナウィルス(Covid-19)対策の規制を緩和し、長期隔離なしの入国を認めることとなった。
日本からタイへ観光旅行や商用出張する際に必要な条件の具体的な準備内容と費用の相場について、各必要条件ごとに情報をまとめてみる。そして最後に全費用の合計を算出してみた。
必要条件とその相場金額
【条件1】ワクチン接種証明書(英文)の取得
接種を受けた際のワクチンの接種券を発行した市町村(通常は住民票のある市町村)に届け出する。
必要なものは以下の4点。
(1)申請書(各市町村に書式有)
(2)海外渡航時に有効なパスポート
(3)接種券のうち「予診のみ」部分
(4)接種済証又は接種記録書
東京都新宿区の場合、まず上記を郵送で申請。受付後、開庁日5日前後で証明書が郵送される。
申請費用は無料。ただし84円切手を貼付した長形3号サイズの返信用封筒が必要。
【条件2】最低5万米ドルの医療保険に加入
タイ滞在期間全てを対象とする、新型コロナウィルス感染症及び関連疾患の治療費を含む最低5万米ドルの医療保険に加入していて、その医療保険証(英文)を取得することが条件である。5万ドルとは日本円にして約576万円である。
すべて2021年の年末年始の10日間、日本からタイへ行った場合という条件で、主な3社に見積もりを取った。
エイチ・エス損保
保険名「ネット海外旅行保険たびとも」
プラン「P1タイプ」
保険料 3,180円
治療費用上限1000万円
https://www.hs-sonpo.co.jp/travel/
※20歳~64歳の場合。
損保ジャパン
保険名「新・海外旅行保険【off!】」
プラン「保険料抑えたいプラン」
保険料 3,570円
治療費用上限1000万円
https://www.sompo-japan.co.jp/kinsurance/leisure/off
ソニー損保
保険名「海外旅行保険」
プラン「保険料節約プラン」
保険料 4,470円
治療費用上限 1000万円
※18歳~49歳の場合。それ以上の年齢の場合は料金が異なる。
https://www.sonysonpo.co.jp/travel/
※新型コロナウィルスの感染に対する補償があり、かつ最低限で最安のプランを選択。
※以上は2021年11月末時点の情報。詳細は各保険会社へ要確認。
これらについては、申し込み時点で日本にいたら、タイへの出発の当日の申し込みでも可能とのことである。ただし、英文での保険証書の発行が間に合うかどうかについては事前に要確認。
【条件3】航空便でタイに入国すること
現在、タイへは航空便でしか入国できない(陸路・海路は不可)規制緩和条件は日本からタイへ行く場合である。第三国を経由する場合は条件が厳しくなる可能性があるので注意したい。
現在日本からタイ・バンコクへ行く主な直行便はおおむね以下の運賃である。
※1か月前の予約で往路12月26日・復路1月3日とし、現時点で空いている最安のプランの場合
羽田―バンコク
JAL往復52000円 エコノミー席・Economy Special Saverプラン
成田―バンコク
タイ国際航空 往復66850円 エコノミー席
関空―バンコク
ANA往復84876円 エコノミー席 往路Super Value 復路Valueプラン
タイ国際航空 往復67290円 エコノミー席 ※復路は1月4日。
【条件4】渡航前72時間以内発行のPCR検査による新型コロナウィルス非感染証明書(英文)
神田北口診療所(東京都千代田区内神田)
検査時間 9:15~1:00 /16:00~17:30 (要予約)
所要時間・当日証明書発行
検査費用11,000円(税込)+日本語または英語の陰性証明4,000円(税込)
https://kandakita.clinic/
三田国際ビルクリニック(東京都港区三田)
検査時間 平日8:30-17:30, 14:15-17:30、土曜 8:30-12:30(要予約)
所要時間 15-30分程度・英文証明書最短で当日発行可能
検査費用 30,000円(税別)+診断書費用5,000円(税別)
https://www.mkb-clinic.jp/free-practice/coronavirus-test.html
※上記は2021年11月末時点。予約がいっぱいになる可能性有。
【条件5】1~2泊分の指定ホテルの支払い済み予約確認書(英文)
タイへ入国後はPCR検査を受けないといけないが、その検査時間と結果が出るまでの待機として、「SHA」認定ホテル(タイ当局が衛生基準を認めて指定したホテル)に丸1日滞在しないといけない。タイへの入国は隔離期間が廃止された、と言われているが、実は実質1日の隔離があるようなものでありその間は自由に出歩けない。現地時間18時までの到着フライトであれば到着日を1日目、18時1分以降の到着フライトであれば到着日を0日目・翌日が1日目と計算する。よって深夜到着の場合、ホテルによっては到着時の検査を翌朝に行うため、結果判明まで2泊が必要となる場合がある。
タイ政府の指定するホテルは、「空港から2時間以内の指定隔離施設(AQ)またはSHA+認定ホテル」とされている。こちらのサイトから選べるようになっている。
https://www.thailandsha.com/shalists/index?keyword=&province=10-Bangkok&type=2-Hotel,%20accommodation%20and%20Homestay
支払う費用には、宿泊費1泊分(ワクチン接種済みの場合)、空港送迎(片道)、PCR検査(到着時の1回分)、
食事代が含まれている。
例えばバンコク・タニヤから近いホテルでは2020年にできたばかりの「56スラウォンホテル」が政府指定になっている。パッポン通りの出口の向かい、「バーガーキング」や「スターバックス」と、タワナホテルの間という立地である。
https://www.56surawong.com/
スタンダード シティビュールームで1泊3999バーツ。(アゴダで1か月前予約で12月26日の場合)この費用でPCR検査と隔離期間の3食がつく。
【条件6】到着時のPCR検査もしくはATK検査で陰性であること
これについては、上記の指定ホテルでPCR検査が受けられるので、そこで陰性ということになれば、晴れて自由にタイを自由に旅することができる。ただし、2021年12月16日以降は、RT-PCR検査の代わりに、短時間(30分間程度)で済むATK検査に切り替わる予定である。
2021年年末・日本からタイへ行く最安の合計金額の試算
以上が、2021年年末時点での、日本からタイへ行く際に必要な準備条件と、概ねの費用である。
あくまでもこの例であるが、最安の場合で合計を出してみる。
2021年12月15日までの場合
合計費用:ワクチン接種証明書郵送代84円+保険3180円+航空チケット往復52000円(JALで羽田の場合)+PCR検査と証明書15000円+指定ホテル1泊と到着後PCR検査代約13196円
合計 83,460円
2021年12月16日以降の場合
合計費用:ワクチン接種証明書郵送代84円+保険3180円+航空チケット往復52000円(JALで羽田の場合)+PCR検査と証明書15000円+到着後ATK検査
合計 70,264円+ATK検査代
※12月16日以降はATK検査に切り替わるので、1泊する必要がなくなるとみられている。
もちろん、これは時期により異なるし、これに加えてタイでの滞在費、および帰国して日本へ入国する際に必要になるタイでのPCR検査証明書(出国前72時間以内の検査証明書)の費用が必要となる。
このコストを安いとみるか高いとみるか。コロナ前だと、飛行機の便数が多かったので航空チケットも安かったし、1泊とはいえ望んでいないホテルでの宿泊をする必要はなかったのでもっと安かったというのは、仕方がないことである。
コスト以外に、時間についても考慮しないといけない。PCR検査は即日で結果が出るとしても、ワクチン接種証明書は最低でも5日間から1週間、タイに着いてからの1泊、そして日本へ帰国してからの自宅隔離14日間などの時間を考えると、現状では日数に余裕をみた旅行計画が必要だ。さらなるタイ側・日本側の規制の緩和が望まれる。