
バンコクのタニヤ通りの治安や安全度はどうなのだろうか。
気になる項目ごとに、現地の治安や安全面の状況についてまとめ、日本の繁華街と比較してみた。
1、街としての治安
テロについて
まず、海外ということでテロや暴動について気になる方もいると思われる。
タイでは、過去に反政府デモや集会が発生し、軍事クーデターが起きるなど政情が不安定な時期もあった。
2014年5月、軍事政権が発足したのちは大規模なデモや集会はみられなくなり、その後2019年3月に総選挙が行われ民政に移管した。それ以来タニヤ通りも政治的な騒動や規制が理由で休業となったことはない。
テロについては、2015年の8月にバンコクサイアムのエラワン廟で爆弾テロが起こり、20名の死者と125名の負傷者を出した。容疑者は拘束され、強制送還されたウイグル族による報復テロという見方が強いが諸説があり詳細はまだわかっていない。これ以降は起きていない。
タイ南部4県(ナラティワート県,ヤラー県,パッタニー県及びソンクラー県の一部(ジャナ郡,テーパー郡及びサバヨーイ郡))では、タイからの分離独立を求める勢力が、時々爆弾テロを起こすことはある。しかし、バンコクから900㎞以上離れた南部エリアでのことであり、バンコクを含めたタイのそのほかの地域では影響はない。
現在では、タイ中のデパートや観光施設、BTS(スカイトレイン)の駅などの入口で、金属探知機のおかれた荷物検査検問が実施されており、人の多く集まる場所では警備がなされている。
スラム街はあるのか?
海外だと、スラム街が存在し、治安は良くないということが知られている。バンコクにも低所得者層が多く居住するエリアは存在する。
タニヤ通りは、シーロムというバンコクの都心に存在する。シーロムは古くからビジネスの中心地として知られており、バンコク銀行の本店をはじめ、多くの日本企業も支社を構えている。日本でいえば丸の内や堂島、淀屋橋といったオフィス街である。近隣には高額な家賃のコンドミニアムや高級ホテルも多いので、怪しげな人はいない落ち着いたエリアである。
2、ひったくりやスリ、詐欺について
強盗やひったくり
強盗やひったくりなどの犯罪はどうだろうか。
バンコクでは、ひったくりやスリなどは時折、スクンビットの路地などで起きる、手口としては、歩道を歩いている時に後ろからバイクが近づいて手荷物を奪ってそのまま走り去るというものだ。大半が深夜一人で歩いている時に発生している。
タニヤ通りの場合、そのような被害は近年ほとんど報告されていない。
日中はオフィス街で会社員が、夜はカラオケのスタッフや女の子達などが、大勢通りにいるため、常に人の目があることが理由である。
周辺のシーロム通りや、大型ホテルが並ぶスラウォン通りも、深夜1時すぎでも人が歩いており、24時間営業のスターバックスやバーガーキングなどの店もあるため、夜中でも危険を感じることがない。
見せ金詐欺
日本ではないパターンの犯罪に、見せ金詐欺がある。バンコクの観光地周辺の路上で、外国人(タイ人ではない)がいきなり話しかけてきて「日本に興味がある。日本の紙幣を見せてくれないか?」と言って財布を出させ、隙を見て紙幣を奪い取るという詐欺が、ときどき発生する。
タニヤ通りの場合、時々欧米や中国人のバックパッカーが通り過ぎるくらいで、基本的にはタイ人と日本人以外はいないため、こうした見せ金詐欺が発生したことはきいたことがない。
3、夜遊び系の治安
タニヤ通りはカラオケ店が密集する並ぶ繁華街である。近くにはゴーゴーバーが多いパッポン通りもあるため、夜遊びの街にはつきものの危険があるのではないか、という不安もあるだろう。
ぼったくりはあるのか
悪質な客引きとグルになった店舗によるぼったくり被害についてだが、タニヤ通りについては、店ぐるみで行っているケースはほぼ存在しない。
会計の際に少し多めに請求をしてきて、正規料金との差額を自分のポケットに入れるというチーママがいることがあるが、店の信用を落とす行為なので、発覚した場合クビになるなどの対応がとられる。
カラオケでは泥酔せず、会計の際に自分が飲んだ分と違いはないか確認をすれば、こうしたことは防げる。
よくあるのが、フリーのガイド(店舗に所属しない客引き)に連れられて店を利用した際の客引きマージンが不明朗なケースである。
カラオケ店やホステスは、客をフリーの客引きが連れて来た場合、客引きに手数料を払わないといけないことになっている。店によってはその手数料を客への請求の際に言葉がわからないこともあって詳しく説明せず、載せて請求する場合がある。当然客からすれば、よくわからないうちに請求金額があがるので「ぼられた」と誤解するのである。
これについては、こうしたフリーガイドを利用せず、自分で店を訪問することで防げる。また、自分たち客単独で店を訪れたのに、後ろからついて来ただけのフリーガイドが「俺が連れて来た」と店側に偽アピールをする場合もあるのでそのあたりも注意したい。
近隣のパッポン通りについては、裏通りにある2Fにある店では、店と客引きがグルになってのぼったくりが一部に存在し、高額な料金を払うまで外に出られなくなるということがあるので、そちらは注意して頂きたい。
女性とのもめ事
これ以外の夜遊び系のトラブルとしては、女性との間のもめ事だろう。
まず立ちんぼ(路上の個人売春婦)についてだが、少し離れたルンピニ公園に深夜出没しており、トラブルがあったという話はたまに聞こえてくるが、タニヤ通りには立ちんぼは一人もいないので、その心配はない。
美人局も、個人で援助交際を持ち掛けるような女性であれば、あり得る話だが、すべての女性が店に所属しているタニヤ通りでは存在しない。
ペイバー後(店からの連れ出し)の後は、客とタニヤ嬢の個人恋愛ということになるので店側は関知できないことにはなっている。しかし万一女性と揉めた場合や置き引きなどの窃盗が発生した場合、店側ではすべての女性の身元を把握しているので、間に入って問題解決を手伝ってくれる。
女性側もそれがわかっているので、よほど悪質な女性でかつこちら側が隙を見せない限り、トラブルは起きにくい。
4、完全違法な存在について
完全に違法なことをする人物はどこの世界にも存在する。
これらの者には近づかないことで対処できる。
タイの暴力団は?
暴力団マフィアなどについてだが、タイにももちろん存在する。しかしタイの繁華街では警察の力が強大であり良くも悪くも警察が街を取り仕切っている。このため一般観光客が、タニヤ通りのカラオケで普通に遊ぶ分には、彼らにお目にかかることはない。

禁止薬物について
タイではマリファナや覚せい剤などの禁止薬物も出回っているが、これらがタニヤのカラオケで表に出てくることはない。上述したように警察の力が強く、ときどき店舗を抜き打ちでまわりの全員に尿検査をしたりするほど規制が厳しいからである。
万一、ディスコなどで知り合った不良嬢などが持っていることがあったとしても、関わらないことで防げる。タイではこうした禁止薬物の使用や所持は厳しく取り締まられ、外国人でも刑務所行きになるので、絶対に関わらないことだ。
いずれにしてもタニヤ通りで普通に遊ぶ分には、こうした危険にさらされることはまずないだろう。
以上がバンコクのタニヤ通りの治安や安全度についてである。
実際、オフィス街である日中はOLが大量に歩いているような通りであり、夜になっても身の危険を全く感じないで歩ける街である。タニヤ通りの治安は日本の下手な繁華街よりも良いといえるだろう。